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「お前もよくあんな監察下で逃げられたよなぁ。」
『…………』
無表情で何も言わない琉羽。
「若、すんごいご立腹だぜ?」
『……』
琉羽は何も喋らず特に何を見るわけでも無いくせに外に目を向けていた。
「おい、琉羽。
組みでのそんな態度は勘弁しろよ。
殺されるのは、お前なんだから」
琉羽への言葉は琉羽に届いて居るのか、組の男は溜め息を吐きながら、車を大きな車庫に停める。
『…………』
「琉羽」
男は琉羽の腕を掴んでさっさと歩き出す。
「ただいま戻りやした」
「琉羽居たのか?」
「あぁ」
琉羽の姿を見てホッと息を吐く男達。
ーーー誰も助けてはくれない。
琉羽の心情などは無い。
ただ、その言葉だけは解った。
「琉羽、若の所に行くぞ」
再び手を掴まれる。
奥の部屋。
そこで座って頭を下げる。
「若、琉羽を連れてまいりやした」
「入れ」
そのまま部屋の襖を開ける。
…琉羽の、昔の部屋へ。

