「お帰りなさいませ、風生様」
「………」
『え、無視なの?』
「……俺の帰るべき場所は、ここじゃねぇ」
風生はフッと目を細めて大きな豪邸を見た。
建てられて間も無いんだろうか?
いや、だいぶ前からの物みたいだけど……めちゃくちゃ綺麗なんだけど。
私はぼーっと建物を見ていたけど、風生に手を引っ張られて中に進む。
ーーー30分。
庭歩くだけで30分もかかったよ!?
私はもう疲れながらも部屋の前らしき所にようやく着いた。
‘コンコン’
「主人様、風生様と琉羽様がお見えです」
「………入れ」
少し渋い感じの低い声が返事をした。
私は意を決して風生と一緒に足を踏み入れた。

