夢見るゾンビ


ガシャン!

ふいに、派手な金属音と足元に衝撃を感じた。

思わず、びくっと萎縮してしまった。

机から少し離れて置かれていたゴミ箱が、倒れて私の足元まで来ている。

「ごめーん」

後ろで由奈の声がした。

振り向くと、ゴミ箱のあったところに由奈が立っている。

「蹴っ飛ばしちゃった」

いいよ、大丈夫と言おうとして由奈の顔を一瞬見たけれど、その顔は全く、謝っている表情ではなかった。

由奈はわざと、ゴミ箱を蹴ったのだ。

能面のような由奈の顔が怖くて、私は思わず目を逸らす。

怖い・・・

「ちょっと、早く片付けてよ!汚いから」

恵梨が怒ったように言う。

それは由奈ではなく、私に向けられていた。