夢見るゾンビ


新しいはずのページに、キレイな角ばった文字で文章が書かれていた。

名前を見たわけじゃないけれど、誰が書いたのかすぐに分かった。

『ノート、ありがとう。いつも色々、助かってます。』

颯太くんだ。

一発で目は覚めたけれど、やっぱり授業は耳に入らなくなった。及川先生、ごめん!これより私、青春という名の科目を自習します。

『森永は、好きな人とか気になる人はいないんですか?

僕は、います。

森永は、映画とか見ますか?

もし森永に誰もいないのであれば、今度の土曜、部活が終わった後に一緒に映画を見に行きませんか?

『踊る雨乞い』っていう映画、今大人気なんだって。もちろん、森永が見たい他の映画でも大丈夫です。

飯野たちには、秘密でお願いします。

部活終わったら、先に富士見中央駅前の富士見犬の銅像前で待ってて。後から行くね。

颯太』