夢見るゾンビ


あぁ~、いいねぇ、「ザ・青春」って感じで。

私が他人様の恋愛模様にうっとりしていると、それに感づいたらしいゆなちゃんが慌てだした。

「ちょっとばんびちゃん、勘違いしてない?わたしたち、そんなんじゃないからね!」

いーえ、勘違いしてませんよぉ~。

『わたしたち』って、もうセットになっちゃってるんですねぇ~。

ニヤニヤしていると、顔を赤らめたゆなちゃんが飛び掛ってくる。

「ちょっと、ばんびちゃん!違うってばぁ!」

「はいはい~」

じゃれあっているうちに、ピッチャーがボールを投げた。

間近で見る初めての投球に、私は思わず目を奪われる。

「はや・・・」

ボールは目にも止まらないほどの速さで、キャッチャーのミットに収まっていた。

青木くんも手が出せない。