試合が始まって、ウグイス嬢とは何かがようやく分かった。
アナウンスをするのね。
用意されてる原稿を読めばいいんでしょ?楽勝、楽勝!
よーし、ウグイス嬢の順番が回ってくるまでは、応援に専念するよ?
「かっとばせ~、1年生!」
「1番。センター、青木君」
場内に、緊張した声色の新人ウグイス嬢さんの声が響く。
呼ばれた青木くんがバッターボックスに立ったけれど、こちらもいささか緊張気味だ。
そりゃそうだよね、いきなり先輩相手に試合なんて。しかも1番。
そう思っていたら、隣に立っていたゆなちゃんが突然黄色い声で叫んだ。
「颯太くーん!がんばって!!」
青木くんが、こちらをちらりと見る。
キャー!
なにこの二人、やっぱり相思相愛なんだ!
もう下の名前で呼んでるし!



