夢見るゾンビ


強い風が、吹いてきた。

日ざしは暖かいけれど、山の上の風は、まだ冷たい。

暖かいのと冷たいのを両方感じて、私は、それがなんだか、人生みたいだと思った。

暖かいのも、冷たいのも、どっちも私の人生だ。

受け入れて、飲み込んで、私は生きていく。

私は太陽の光を浴びながら、風を思いっきり胸に吸い込む。

そして、

向こうに見える富士山と、

ここにいる大切な仲間と、

心の中のお母さんと、

そして、山の下に広がる街々のどこかにいる、まだ見ぬ私の友達に向けて、

思いっきり叫んだ。



「みんな~!愛してるっ!!」





【完】