夢見るゾンビ


「違う!!」

由奈が突然、壊れたように叫んだ。

「何も知らないくせに、なに適当なこと言ってんの!ばかにしないでよ!」

最後のほうは金切り声に近かった。

顔をくしゃくしゃにして、必死になって否定する。

教室中が、由奈の豹変に驚きの余り声も出ない。

こんな由奈を見るのは、初めてだった。

いつもおしゃれに手を抜かず、万人受けする笑顔をつけて歩く由奈。

でもそれは、「認められたい」「愛されたい」そういう必死の思いで身に着けた、生きていくための術なのかもしれない。

竹内さんは、驚かなかった。

こういう反応を、予想していたのかもしれない。

ただ静かに、化けの皮が剥がれた由奈を見ていた。

それ以上何も言わなかったけれど、私には竹内さんが

「ほら、これが飯野由奈の真の姿だ」

そう言っているのが、分かった。