夢見るゾンビ


「ごめんね、由奈。私は、ぶーちゃんとご飯食べるから」

余裕の笑みを浮かべていた由奈の顔が、豹変した。

「え?せっかく誘ってあげたのに、何言ってんの」

由奈の手がほどけ、温もりが消えていく。

悲しくなったけれど、仕方ない。


私は、ぶーちゃんが好きだ。

ぶーちゃんは弱い人間だけれど、一緒にいるとほっとする。

ぶーちゃんは私がどんなことを言ってもやっても、笑って受け入れてくれる。

ぶーちゃんといると私は、自然でいられる。

私は、ぶーちゃんを友達にしたい。

由奈の言いなりになったら、私らしくはいられない。

私の心は、鳥のように自由でありたい。


「ブタ人間とゾンビって。ま。妖怪同士、いいコンビだけどね!」

由奈が、馬鹿にしたように笑う。

「うん、そうでしょ?西遊記できそうだよね?由奈も、まざる?三蔵法師のポジション、空いてるよ」

西遊記に、ゾンビって出てきたっけ?

まあ、いっか!気にしない気にしない!

「ふざけんな。死に損ないの、ゾンビのくせに」

私は、ひるまなかった。

「ゾンビで結構!」

うん、本当にゾンビってナイスネーミング。

私はゾンビだ。

私は心の中でうなずくと、大きく息を吸った。