由奈が、私に向かって手を振っている。
「ばんび~!」
由奈、満面の笑みだ。
あれ、周りにお花が見えますよ?
私、今度は幻覚見えるようになっちゃったよ?
ほっぺをつねってみたけど、夢でも幻でもないみたいだ。
ちゃんと痛かった。
「?」
いやいや、そんなわけないよ?
今日もしっかり、石ころがズックにゴロゴロ入ってたからね。
あ、ばんびちゃんという同じ名前の転校生が来たとか?
そして、その子が私の真後ろに・・・
いない。
竹内さんに「何か用?」ってにらまれちゃったよ?
由奈が、笑いながら歩いてきた。
「もう、ばんびってば。呼んだのに」
私の手をとった。
由奈、ニコニコしてますけど?
え、何?一体何が始まるの?



