歌い疲れて、そのまま夜になった。

颯太くんは、まだ来ない。

時計を見ると、7時を回ったところ。

ここに来てから、もう2時間近く過ぎていた。

部活はもう終わっていて、自転車ならそろそろついても良さそうな頃だ。

まだかなあ、颯太くん・・・

部活を辞めたことを、颯太くんに話さないといけない。

本当は、話したくないけれど。

くだらない話をして、笑って、映画を見て、颯太くんの笑顔を見て。それだけでいいんだけれど。

颯太くんなら、きっと分かってくれる。

颯太くんなら、きっと信じてくれる。

早く会いたい。早く来てほしい。

私は座り続けたお尻の痛みに耐えながら、そう念じ続けた。