夢見るゾンビ


よし。

とりあえず、帰ろう。

帰って、お風呂入って、寝よう。

考えるのは、その後にしよう。

この格好を浩二おじちゃんに見られたら、気づかれちゃう。

浩二おじちゃんが来る前に(毎日来るとは限らないけど)、なんとかしないと。

というか、今何時かな。

カバンから携帯を出して時間を見ると、午後7時を過ぎていた。

「あ」

そして、またお母さんから留守電が入っていた。

「もしも~し、ばんびちゅわんでしゅかぁ?

おかあさんどえーす。

こっちは今、ゴリラ豪雨って奴が降ってるわよ~ん。

ばんびちゃんの上の空模様は、どうでしゅかあ?

晴れてるといいなぁ。

じゃまたね、ばんびちゃんだーい好き!

Byおかあさんでした~」

だから何度も言ってるけど・・・

お母さん、なんで私が取れないって分かってて電話よこすのさ?

私は呆れたけれど、少し元気になった。

今晩、お風呂入ったらまた電話しようっと。

正門へ続く通路は、真っ暗だったけれど勘を頼りに私は走り出した。

今から急げば、7時半の電車に間に合うかも。

校舎の角を、曲がったときだった。

「ヒャー!!!」

暗い夜空に、女二人の悲鳴が響いた。