だから私は、この富士見学園高校を進学先に選んだのだ。
通学に片道2時間もかかり、校舎から富士山が見える以外は特に何の特色もないこの学校を進学先に選ぶ同級生は一人もいなかった。
進学希望をお母さんに伝えると、お母さんはあまりいい顔をしなかった。
ばんびは何も悪いことをしてないのに、逃げるみたいに遠くの学校に行かせるのは悔しい、お母さんはそう言った。
でも、私だって普通の青春を楽しみたい。
友達をたくさん作りたい。
お昼を一緒に食べたり、ガールズトークで盛り上がったり、部活に汗や涙を流したり。
普通の青春をオウカしたいんだ。
私がそう訴えると、お母さんは約束を守ることを条件に、進学を認めてくれた。



