「・・・髪を切ってもキモイな」
誰が言ったか分からない。
教室では、誰とも目が合わないように目を上げないことにしている。
髪の毛が長かったときは、少しうつむけば髪の毛が顔を隠してくれた。耳をふさいでくれた。少しだけだけど、盾になってくれていた。
ここまで短くなってしまうと、もうどこにも隠れ場所がない。
お昼時間、教室は隣同士の6人ずつ机をあわせて給食を食べることになっている。
でも、私と机をくっつけてくれる人は誰もいなかった。
「菌がうつるでしょ、もっと離れてよ!」
「視界に入ると、食欲失せるんですけど~」
少しでも近いと机を蹴られるから、私はみんなからできるだけ離れたところに机を動かして、一人で給食を食べる。
味はしない。
早く食べ終わって誰もいない場所に避難することだけを考えて、口に食べ物を詰め込む。
変な食感のものを噛んだ。
これは食べ物じゃない。直感してスプーンに出すと、それは使い古しの消しゴムだった。
「ちょっ!なんか吐いたぞ!キモッ!!」
悲鳴と笑い声が響いた。
「みんなに土下座して謝れよ!」
「・・・ごめんなさい」
私は土下座して、謝った。



