腕をつかまれた次の瞬間、乱暴に引き倒された。
打ちっぱなしのコンクリートのざらざらした表面が、容赦なく頬に食い込んだ。
マットにしみこんだ汗とカビの匂いが、鼻をついた。
誰かが私の体に乗っていて、誰かが私の髪の毛をつかむ。
ブチブチッと、髪の毛が抜ける音がした。
「チビのくせに、髪なんか伸ばすな!見た目がキモイだろーが」
黄色い声が上がった。
「きたなーい!こっちに捨てないでよ!」
男子が、私の抜けた髪の毛を女子のほうに放ろうとしたらしい。
女子が倉庫の中をバタバタ逃げる。
どさくさに紛れて、私の手を踏んでいった。



