胸が痛くて、息苦しくて、
とてつもなく幸せで

ずっとずっと、
このままずっとこの時間が続けばいいと思った。


昴兄の隣にいれることが
なんだか嘘みたいで

何度も何度も
昴兄の存在を確認した。





こんなに幸せな時間が味わえたのなら


あたしは、
これから一人ぼっちでも泣かない。寂しくない。

今日のことを思い出すから。






昴兄が、こんなにも近くにいたその記憶であったかくなれるから。




一日はほんとうにあっという間で、
気付けば辺りは真っ暗で

帰る時間が近付いている。





「笹、そろそろ帰るか?」

「うーん、」


「なんだよ、泣きそうじゃん。
アイス買ってあげるから、泣かないで。」




「子ども扱いしないでよ、ばか兄」




悔しいよ。

あたしが、もう少し早く生まれてたらチャンスは巡ってきた?



少しでも、昴兄を惑わせることができるような女の子になれてたかな。





「昴兄、」



言っちゃダメ。

言っちゃダメ。


あたしの気持ちなんて、冷凍保存して永久にどこかへ葬らなきゃ。






「ん?」










「アイスはコーンダブルにしてね」

「はいはい、」




頭をポンポンしてくれる、その手が好き。

しょうがないなって顔であたしを見下ろす、その顔が好き。

あたしを暖かく包んでくれる、ぜんぶぜんぶが、好き。