【短編小話】失 恋

「お姫様はお洒落好きだから。」

あたしはぎこちなく笑った。

話が続かない。

いつからだろう、普通でなくなったのは。

「寒いね、あたし戻るよ。」

投げ出されたタキシードの足を避けて通ろうとすると、腕が伸びてきた。

「話、せん?」

そんな顔見せないでよ。

あたしは目を伏せた。

「お前と二人で話すの、随分久しぶりだよな。」

避けてたもん。

「高校ン時なんか、先輩、智先輩ってしょっちゅうツイて来てたのに。」

何年前の話よ。

「お前こんなちっこくてさ。」

「小学生かっ。」

腰辺りで背くらべのポーズをした智君の手をグイと正しい位置に上げた。

「高すぎだろ。」

「いーえ、今とあんまり変わらないもん。」