【短編小話】失 恋

いつの間にかペースに引き込まれてたことに気付いて、あたしはクルンと向きを変えた。

ふいにアイツと目があった。

じっとこっちを見てる。

係員らしき男性が小走りで廊下を駆けていく。

智君捜してるのかな。

隆平は声を掛けられた彼と何か話して、建物の奥を指さした。

あたし達に背を向けながら。

「あのさ。」

智君がポツリと言った。

シワクチャの封筒を差し出す。