「お邪魔しまーす」


「どうぞ。むさ苦しいところですが」


「むさ苦しいって」


仕方なく、私は先生を自分のマンションに連れてきてしまった。


こうなるなら、部屋を片付けておけば良かったと後悔せずにはいられない。


それにしても緊張する。


こんな片付いていない部屋を見て、私にマイナスイメージが定着してしまったら嫌だなあ。


初めて女の子を自分の家に連れてくる男の子の気持ちって、こんな感じなのかな、と思ってみたりした。


「…」


「…」


えーっと、こういう時、何て言えばいいんだろう。


やっぱり真夜中だから寝ることを勧めた方がいいのかな。


「先生、とりあえず私のベッドですがよろしければどうぞ。私は隣の部屋で寝ますので」


このマンションの一室(というか1人分というのだろうか?よくわからない)が3部屋つながっている構造であることに感謝しながら言う。


「でも布団、あるのか?」


「夏ですから心配ないですよっ」


私はない胸を張って言った。


「いや、そりゃダメだよ。俺と交換しろよ」


「ノープロブレム、ノープロブレム」


「自分の部屋なのに遠慮するなよ。レディファーストって言うだろ」


「何がレディですか。さっきは乙女って言ったら笑ったくせに」


「えっと、あれは…」


「ほらねっ」


私はまた不機嫌になってしまった。


別に気にしているわけでもないのに、なんだか素直になれない。