一方、先生はそんな私を見て首をひねっている。


確かに「あーそうか」という言葉なんて日常会話にすっかり埋もれてしまっていて、感動のかけらもないかもしれない。


だけど私にとっては思い出深い修学旅行の中で、先生が私だけに言った言葉。


特別な言葉なのだ。


「流星さん?」


「はいぃ?!」


驚きのあまり、声が見事に裏返ってしまった。


「どうしたんですか?」


「いや、なんでもないです」


「それならいいですけど」


先生はまだ何か言いたそうだったが、こう言ってまたパンフレットを見始めた。


私も先生の手元にある中の、北海道と書かれた1冊を手にとって目を通す。


札幌市時計台、テレビ塔、小樽のオルゴール館…。


どこもみんな思い出の場所だ。


大学生の時にも友達と行ったけど、個人的には修学旅行の方が印象が強い。


友達と行った時は先生のことばかり思い出していたから。


…あぁ、そっか。


修学旅行の時、先生とはほとんど一緒に行動していなかったものの、北海道も思い出の場所なんだ。


「よし、先生!北海道行きましょう、北海道!!」


「え!?」


先生はいきなりこう叫んだ私を驚いた目で見る。


「行きたいんですよね!?北海道」


「は、はぁ…」


こうして先生が退院したら北海道に行くことになった。


まぁ、半ば強制的になってしまったが気にしないでおこう。