それから二段、三段と足を運んで、やっとのことで資料室まで来れた。
一端段ボールを廊下に下ろしてから、ガチャガチャと音を鳴らしてドアノブを回した。
「よい、しょ」
ギイイイ、独特の音が耳にこびりつく。開けた扉の先、
足元から持ち上げて少しだけ歩く。どすん、鈍い音と一緒に、資料室の中に段ボールを置いた。
「疲れた…」
「おつかれ」
「………え」
足元に向けていた視線を上げる。今、声がした。
そこには、
「……、い、郁也、いたの?」
「野崎が一人で持って来れるか見物してようと思って」
「それは酷い」
指先がひりひりと痛い。それを握り締めてから口を開く。
「全然気付かなかった」
「足元しか見てなかったしね」
「で、ですよね」

