「大丈夫大丈夫。まずしないし」

「え」

「駅、着いたよ」





***


全くわからない。数学じゃなくて、郁也が。

昨日のあの一連は結局なんだったのか。

結局あのまま帰ってしまった郁也には聞く気にもなれなかった。




「…なんだろう。この体の底から湧き出る苛立ちは」

「佳奈どうしたの」

「どうしたもこうしたもない。郁也がわからなくて困る」

「なんかあったの?」

「…生まれて初めて彼女の辛さがわかりました」




身に染みて理解した。

郁也のことを全然理解出来てないけど郁也の彼女なんだよね、私。