その荒々しく響いた音にびくりと肩が上下する。

なにか悪いことをしてたわけじゃないのに、後ろめたく感じてしまう。



…目が合った相手は、こちらをじっと見てくる郁也だった。




「…郁也」

「…」




その瞳が自分に向けられていることよりも、そこに心がちゃんとあるのかどうかが不安だった。

言いようのない不安。静かに込み上げてくるのが嫌だ。気持ち悪い。




「…おお、藤崎。ちょうどよかった。ちょうど、お前のこと話してたんだよ」

「…」




ばっと担任を見る。

余計なこと、言わないで欲しかった。そう思うも言葉にはしなかった。



すると、担任は私を指差して言った。




「こいつ、俺の数学の教え方じゃわからないみたいなんだよ」

「…ちょ、先生」

「教えてやってよ」

「、」



私の呼びかけは完全に耳からシャットアウトされてた。また、眉を顰る。


【俺じゃ駄目みたいだからさ】そんなふうに言われた。



すると郁也は、止めていた足を動かしたのだ。




「…喜んで」

「え」




腕を引っ張られた。