「じゃあお前のことを藤崎は全部知ってんのか」

「…え?」

「ならお前の親友は?親は?…自分のことを一番知ってんのは自分自身だろ。他人に自分のことを全部知り尽くして欲しいのか?お前は」

「…そうじゃなくて、私が言いたいのは」

「同じだろ。藤崎がお前に自分のことを全部知ってて欲しいって頼んだのか?」

「、」




相変わらず、その視線は真っ直ぐに私を貫く。

そう言われて、はっと息を呑んだ。…そんなことは言われてない。言われてないけど。


だけど。




「…でも、郁也のことなにも知らないのに、進路のことなんて聞くのは、おかしいですよね」




俯きがちになりながら呟く。

郁也のことは表面上しかわからない。なのに、その部分に触れてしまって良いのだろうか?

そんなことして、良いのだろうか?


不安を、口から繋ぎ合わせた言葉にして零す。

それを耳に入れると、また担任は盛大に溜息を吐き出した。目前でやるもんだから嫌でも視界には入ってしまうその行為。




「…なんでこのタイミングで溜息つくんですか」

「そらつきたくなるわ、溜息くらい」