郁也のこと、よく知ってるつもりでいても、

実際は表面上の郁也しか理解出来ていないような気もする。


時折、胸を掠める不安。…ああそうか。目に見えない繋がりって、こういうときに不安に思うものなんだ。

そう思うのも今更過ぎて自分が嫌になった。担任の視線はまだこちらに留まったまま。




「…私、…郁也のこと、はっきり言ってよくわからないです」

「…」

「…表面上しか、知らない。ていうか、表面上だって曖昧にしかわからなくて…、」




不安が胸に噛み付いた。じわりじわりと傷が広がっていくようだった。


この男はどう反応するだろう、私の本音に。なにか答をくれるだろうか。

だけど予想に反して担任は、私の零した本音に馬鹿にしたような言葉が返ってきた。




「なに言ってんだよ、お前」

「…はい?」




なにって本音を話したんですが。私の本音を一字一句漏らさず話したんですが…。

なのに返ってきた返答は『なに言ってんだよ、お前』?


ええ…、話聞いてたんだよね?あなた私の話聞いてたよね?