「…俺がピアノ弾けること、知らないだろ?」

「……え、お父さん弾けるの!?」




えええええ!

思わず声を上げる私にお父さんは苦笑を晒す。




「有り得ない、みたいな顔するなよ。…大分弾いてないけどな」

「…嘘」




有り得ない。いや、もう本当に有り得ないよお父さん。

だってお父さんが、ピアノ…。




「…そ、想像が着かないんだけど」

「…親に言われて中学一年の頃までは習ってたんだよ。…高校のとき、由奈に何気なく弾いた曲が気に入ったみたいでさ」

「…お母さんに?」

「…聴いてみる?」

「え」