私の言葉を聞くと、お父さんは、ふう、長く息を吐き出した。
「焦らないで良いって前にも言ったけど」
「…」
「…佳奈はどうしたい?やりたいこととかないのか?」
「…わかんない」
「…俺はさ」
やけにお父さんは小さく呟くから、テレビから聞こえてくる愉快な笑い声に掻き消されてしまいそうになる。
お父さん、もっと大きな声で話してよ。
「…なにも考えないで高校に進学して、なにも考えないで大学に進学したんだよ」
「…」
「…自分のやりたいことが見つからなかった。結果こんな人間になったんだけどな」
「……」
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