そう言ったけど、怜香はふるふると首を左右に振った。

すっと顔を上げて、私を一直線に見てくる。




「…じゃあ佳奈は辛くないの」

「…、」

「家族が一人いなくなったのに、悲しくないの?辛くないの?」

「…それは、」




…辛いに決まってる。

だけどそれをどう言葉にしたら良いのかわからくて、口を固く結ぶ。




「…あたしには家族がいるからわからないけど」

「…怜香」

「…無理して笑おうとしないでよ。…辛いんでしょ?あたしになんて、気を遣わなくて良い」