「、」
「…怜香?具合悪い?」
「…なんでもない。…部屋、戻る」
くるりとお母さんに背を向けて、二階へと続く階段を上がり始めた。
ばたんと部屋の扉を閉めた途端、瞳からぼろぼろと溢れ出した涙。
冷たいフローリングに落ちていくそれ。…ああもう、あたしが泣いたところで何になるの?
そう思うも、一向に止まろうとしない。寧ろ量は増えていく一方で。
「……っ…、」
佳奈はきっと泣いてる。
あたしには今ここに家族がいるし、亡くしたことはない。
だから家族が一人いなくなってしまった辛さは、あたしにはわからないけれど、
…それはきっと途轍もなく悲しいことだと思う。
そんな佳奈を思うと、涙が止まらなかった。

