「…嫌な夢…?」 嫌な夢だとお母さんは言った。ここ最近、毎晩熟睡してる私は夢なんて見ないから、想像がまるでつかない。 「…毎晩見るの?」そう聞けば、お母さんは首を横にふるふると振った。 「…たまに。でもどれも同じような夢で」 「……」 それこそ、知りたいと思う。…でも、そんなに何度も見ているの? 「…あんまり、話したくないんだけどね、佳奈には」 「…え?」 お母さんの表情に、笑みは浮かばない。