「……郁也、付き合うって言うのは…まさか」 「そのまさかに了解したの、野崎」 「え、ちょ、はい?郁也正気?」 「疲れた」 答えになってない。 郁也の黒い髪が、自身の首元をくすぐる。…く、くすぐったい。 ……ねえ、もしかして。 「あの、さ。…自意識過剰なこと、聞くけどさ」 「…なに」 「……郁也、彼女、出来た?」 「…今出来た」 がたん、ごとん。 電車と、心臓が揺れた。