「なに。夢って。どんな夢みたの?」 先が聞きたい。夢を見たのはわかったから、その先が知りたい。 半分ほど水の入ったコップを手に持ったまま、急かす私。 カラン、カラン、氷が揺れる。 「…あんまり、良い夢じゃなかった気がする。曖昧なんだけどね、はっきりとは覚えてないんだけど」 「…」 ―――――だけど、嫌な夢だったのは、はっきり覚えてる。 そう言ったお母さんは、さっきまで浮かべていた笑みを消して、 不安に揺れる表情を私に晒した。こちらまで不安になりそうな、そんな顔だった。