「…本当は、佳奈との時間もたくさんつくってあげるべきだったのにね」 「…え」 優しかった曲は、お母さんの呟いた声を飲み込んでしまったからか。 その悲しげな声を、飲み込んでしまったからなのか。 …とても悲しい曲に、なってしまった気がした。 悲しい色が、ぽたりと零れてしまった気がした。 それは気のせい? お母さんの背中しか見えなくて。顔は見えない。 「…もう、佳奈はこんなに成長しちゃったんだよね」