「…そう、なんだ」
「うん。やり甲斐があるから。佳奈も自分がやりたいこと、やるんだよ」
「…」
ハンドルを扱いながら、そう言ったお母さん。
窓越しに見ていた景色から、お母さんへと目線を移す。
「やりたいことやらなきゃ、勿体ないから」
「…そうかな」
「そうだよ。ねえ佳奈、佳奈って子供苦手だったんだっけ」
「苦手ではないけど…」
「そっか」
信号機が、ぱっと赤に変わる。当然、私達を乗せた車も止まる。
横断歩道を渡るランドセルを背負った小学生。なんだか懐かしいな。
「佳奈がランドセル背負ってる頃、思い出すよ」
くすりとお母さんが笑った。思いだす?
ていうかなんで笑うの。思わず出てきそうになった言葉を飲み込む。
「…佳奈って怜香ちゃんと仲良いよね」
「怜香?」
「うん。怜香ちゃんと佳奈は、小学生のときもずっと一緒にいたからね」
「そうだね」

