数学の課題は思っていたよりも多くて。今日中に終わる気がしない。

郁也に滑らせた視線。郁也が口をゆっくりと開いた。




「野崎って頭空っぽだよね」

「なんで郁也、それを真顔で言うかな」

「終わらないと思う。それ」

「尚更手伝って」




私が言うと、がたんと席を立った郁也。




「どこ」

「え、…教えてくれんの?」

「野崎放置したら後々面倒なことになると思ったから」

「…ありがとうございます。おっしゃる通りですね」




歩み寄ってきた郁也は、そのまま、がたんと私の前の席に座った。

だけど、なかなかその口は開かない。

あれ、教えてくれるんじゃないの?




「……」




とりあえず、問題をひとつ、必死になって解いてみる。

ていうか誰かに見られながら問題を解くのは、なんとも言えない緊張感がある。…なんで郁也、教えないんだ。