がたん!驚きやらなにやらの衝撃で椅子が鳴る。
ぎい、当たった私の背中の所為で、椅子が唸る。
「なんて?お母さんなんて言った?」
聞き間違いであって欲しい。聞き返せばお母さんは「佳奈って好きな人いないの?って聞いたの」しれっとした態度で私に言った。
「いやいやいや!思春期の娘になんてこと聞くかな、この人は!」
「だって佳奈、そういう話しないんだもん」
「するか」
ちょっと待って、なにこのノリ。なにこの人のノリ。
中学生の娘に平然と恋愛面に対しての質問をしてくるなんて、相当、デリカシーに欠けてる。
有り得ない。
「いないし」
眉間に皴を寄せる。顔を歪めながら、フローリングに落とした言葉。

