【佳音だからね】その言葉を脳裏で復唱する。
信頼があるから、その人のことがわかってるからこそ、言える言葉、なんだろうな。
――――本音を言うと、すこし羨ましかった。
私もいつか、長く長く続くような恋愛が出来たらなあ。
まあ、私を選ぶような物好きはいないだろうけどね。望み薄、ってところかな。
「ねえ佳奈」
「なに?」
「今、好きな人とかいないの?」
「はい?」
立場逆転。なぜか興味津々といった様子で私に食いつくお母さん。
…あれ?さっきまで私がそんな顔してたんじゃなかったっけ?
――――ていうか。
「いきなり何聞こうとしてんの!?」

