「いや、ほら、あたしって仕事柄、人との関わりが多いでしょ?それで昨日、迎えに来た保護者さんが『ドリアンが固くて切るの諦めた』って言ってたから…。あたしなら出来ると思った」

「なんで無駄な対抗心を抱くの」




ていうかそれどころじゃなかった。座っていたベッドから飛び降りて、

引き出しの中から小さな救急箱を引っ張り出して絆創膏を取り出す。




「…お母さん、ドリアンは多分難しいんじゃないかと」

「先に言ってよ、佳奈」

「言えないわ。お母さんが勝手にやり始めたんだよ」




差し出された指先に、とりあえず絆創膏を広げて被せる。…血、止まればいいけど。