視界に映るのは、いつも通りの怜香…ではなく。 「……怜香?」 考え込むような顔付き。どうしたんだろう。…なにかを、躊躇うような考え込むような、難しい表情。 名前を小さく小さく口にしたけれど、怜香には届くことはなかった。 「…」 郁也に引かれた手。 教室から足を踏み出していたことに気付いたときには、 もう怜香は視界の中には入っていなかった。