「―――――っ」 視界が開く。…また、夢を見た? 呼吸が、上手く出来なくなる。胸元に、ぐっと手を置く。 ―――どくん、どくん、どくん。 次第に加速していく心音が、私に焦りを伝える。…余裕が無い。ああ、嫌だ。 「……佳奈」 「、え」 はっとして顔を上げる。声が、誰かが、……郁也が、私の名前を呼んだ。 ゆるゆると視線を送る。私、寝てた? 「…授業、もう終わったけど」 「…嘘」