きっとまた、怜香は気難しそうな顔をしているのだろう。なぜか胸が痛んだ。




――――ついたのは、使われていない空教室だった。

すっと放された腕。疑問を口から零す。




「…怜香、どうしたの」

「聞きたいのはあたしの方。…なんで隠すの?」

「…隠す?…隠すって、なにを?」

「次とぼけたら殴るからね」

「暴力はやめよう!?」




思わず怜香から一歩、二歩、距離を取る。

それに対してはなにも言わなかったけど、怜香は悲しげに、言葉をぶつけてきた。




「…あたしには隠さなくて良いよ。知ってるんだから」