トイレにでも行くんだろうか。疑問符を浮かべながら、私はその名前を呼んだ。 トイレではないらしい。「…違う」静かに私にそう答えると、 「え、うわっ」 「行くよ」 目を見開く。怜香は私の腕を引っ張ると、私を立ち上がらせた。 今は賑やかな休憩時間だから、誰も気付くことなく談話に集中してる。 「え、怜香?トイレじゃないの?」 「違うってば。悪いの、佳奈だからね」 「痛いんですけど、怜香さん!」 「あたしは痛くない」 「そりゃそうだよ。怜香が私の腕掴んでるんですよ、怜香が」