『佳奈』 『佳奈』 『おいで』 『こっちに、おいで』 『佳奈、』 『おいで』 眉間に皴を寄せた。嫌だな、気持ちが悪い。 郁也は私をちらりと視界に入れてから「ない」ぽたりと言葉をアスファルトに落とした。 「…ないんだ」 「見ても覚えてない。なに?夢見たの?」 「あー…まあ」 曖昧に濁した返答に、郁也は特になにも言ってこない。 放課後の帰り道は、やっぱり寂しげな気がした。 ―――それが、広がるオレンジ色の空の所為なのかはわからないけど。