「隈が出来る程の悩み、あった?」
「え」
郁也にそう問い掛けられた。…ぴたり、ぶらぶらと揺らしていた両足が止まった。
ああ、そりゃそうか。ここまでしてくれて、流石に隈の原因くらい、聞かれるよね。
「…悩み事というか」
「…なに?」
「…その、ですね。…昨日、担任と私が対談したって言ったじゃん」
「うん」
「…それで、今更だけど進路どうしようって思ったり、…して」
正直、不安にならない筈が無かった。
あんな風に先生と対談したのは、学年でもクラスでも私ひとりで。
言われた内容はやっぱり進路について。…難しいのはわかってるし、自分に実力が無いのもわかってる。
…だから、焦ってる。

