「愁くんでいいよ?紗菜ちゃん。じゃあ今度こそ」 ガラっと音を立てて教室から出ていった。 「ねぇ、葵?」 「んだよ」 「好きな人いるの?…可愛いって言ってあげたい人でもいるの?」 私は率直に気になったことを聞いてしまった。 葵は少し戸惑ったみたいだけど… 「いる。好きな奴。そいつに可愛いって言ってやりたいとも思う」 「はっ…はは。そっか!」 私は動揺を隠せない。 葵に好きな人がいる…。その人に可愛いって言ってあげたい。だって。 そんなに愛してる人がいるんだね。