「…結菜、まだそこら辺にいるかな」





片手で持った数学の教科書を、とりあえず結菜の机上に置いておく。


足を踏み出して教室から外へ出る。結菜に言えば良いか。





「…あ、いた」





結菜は私に気付くと、





「あ、友梨!どうしよ、誰も数学の教科書持ってない!」





笑えるくらい必死に、私に向かって叫ぶ。

それに対して『さっき優子が届けに来たよ』と返そうと、息を吸った。




「ゆ、」