「隼人、…ありがとう」

「…なにが?」

「…私のところに、来てくれて」




自分たち二人に出来た傷痕を、癒えるものが見つからなかった。

傷痕は深くなる一方で、やっと見つけた、傷痕を唯一癒えるもの。




「…好き、だよ」






    それは、

 涙が零れ落ちるよう  な雨のある日、二人  を包む、



  愛の唄だった。





    【完】