「あ、友梨友梨!」

「あれ、優子なにしてんの?」

「結菜は?」

「数学の教科書忘れたらしい。今借りに行ってるよ」




私がそう返すと、隣のクラスの優子は「あー、タイミング悪かったか」後味の悪そうな顔をした。





「これ、昨日結菜に借りてそのままだったんだよね。数学の教科書」

「うわあ…なんてタイミング悪い」

「あたし次移動なんだよね。ごめん、友梨、悪いんだけどさ、結菜にこれ渡しといてくれない?」

「わかった」






頷いた私に、「ありがとう」呟くと、優子は小走りでこの場から離れて行った。