「…友梨さ、最近、そうやって変顔してること多いよ」
「変顔はしてませんが」
「いや、もう一種の芸でしょ。笑っていい?」
「なにカメラ用意してるの。撮らないで、撮らないでよ」
「良いじゃん、記念撮影だよ」
「なんの。なんの記念撮影なの」
失礼な。私、変顔したつもりは微塵もないんですけれど。
すかさず私に、さっと携帯を向けた結菜に釘をさしておく。
撮らないでください。これは変顔じゃなくて悩んでいる顔です。
「悩み事?」
「いや」
「なになに?好きな人出来たの?おじさん?」
「趣味悪くない?おじさん好きになってどうするよ。ていうかまず好きな人いないし」
「なんだよつまんね。ねえ友梨、本当どうしちゃったの?面白みも無くなっちゃったの?あたし心配になってきたわ」
「なにその心配」

