「……は、はい?」
「マネージャー。もうすぐ試合があるんだよ。うちの部、マネージャーがいないから。…試合には来てもらわなくても良いから、肩書だけ使わせて欲しい」
「…」
「試合の主催者側に提出する書類には、マネージャーの名前を書く欄がある。それ、必須だから」
「……」
「言ってる意味、わかるよな?」
動きが、静かにぴたりと停止する。それを見ながらも、彼は冷静だ。
一方、私は、話がまるで読めずにいる。マネージャー?誰が?なんで?
「はい?」
「俺、今アンタに数学教えたよな」
「……つまり、借りを返せ、と…?」
「要約するとそうなる。一ヶ月でも良いからやってくれねえ?」

